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2008年6月10日火曜日

ドラマチックな人生

人は誰でも「物語の主役」を演じている様な錯覚を覚える瞬間があるものだ。私が嘗てそんな状況で時が止まってスローモーションになった場面を幾つか挙げてみたいと思う。

1.20歳の頃、スプリンタートレノでカーブを曲がり損ねて金網に突っ込んだ瞬間
2.23歳の頃、同期で好きだった女の子が田舎へ帰ってしまう夜、新宿での別れのシーン
3.25歳の頃、付き合っていた女の子との別れ話の縺れで彼女が半狂乱した時のシーン
4.33歳の頃、今の妻と初めて出会った焼き鳥屋でのシーン
5.34歳の頃、某有名都市銀行への派遣社員として赴き、子会社へ役付きで就職が決まった時

この様に事故や異性・仕事の出世が特に印象的に時間を止めてくれるみたいです。

でもこの10年くらいはそういった「物語の主人公」になれていない気がします。事故を起こしたらきっと物凄く印象に残ってある意味物語の主役になれるのでしょうが、そんなのは真っ平です。

バブル以降日本人は『ただ只管生き残る事』と『熨しあがる事』ばかりに注意を払い、本当に必要な「アソビ心」や「美学」を軽視せざるを得ない状況になってしまった。

年功序列が廃止され、能力主義や成果主義が持てはやされる様になった。

その結果、無味乾燥で物語性の無い単調で飽きる長編小説の脇役を演じるしか無い現代の人々はドラマチックな人生を求めて転職したり、脱サラしたりする。その一方で動きたくても動けない人は様々な重圧に耐え切れなくなり病気になってしまう事も多い。迷走する日本でドラマチックで魅力的な人生をワクワクしながら送れる日は来るのだろうか?